「WHOLE CRISIS CATALOG」ワークショップ@小僧文庫 開催しました

3月29日(土)に、境港市の小僧文庫において、「WHOLE CRISIS CATALOG(ホール・クライシス・カタログ、以下「WCC」)」を開催しました。

WCCとは、湯梨浜町の古本屋「汽水空港」店主モリテツヤさんが始めた取組で、参加者一人ひとりから共有された困りごと(crisis)を課題リスト化し、互いを結びつけるツールとすることで、「環境を変えていくのは自分たちだという実感をつくる」ことを目指すものです。

参加者は約10名程度。とっとりコミュニティ財団設立準備会の上山梓さんにファシリテーターをしていだたき、みんなで意見を出し合いました。

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お困りごとを声に出す、シェアする

まずはひとりずつ困りごとの出し合いから。以下のような困りごとが出されました。

  1. 病児保育の課題:子どもが病気になった際に、保護者は仕事を休まざるを得ない。 土日に対応する病児保育がなく、対応が難しい。

  2. 子どもの居場所の不足:安心して過ごせる居場所がない子どもがいる。

  3. 伝統文化の継承問題:梅干しづくりなどの生活文化が伝承できていない。 高齢者が次世代へ伝えようと努力しているが、30~40代が不在のため次世代への継承が困難。

  4. 神社の後継者不足:宮司の不在により、神社の維持が困難。 祭りの時のみ外部の宮司を招いているが、常駐できる人がいない。 小規模神社では宮司の給与を賄えず、相続問題も課題。

  5. 地方の人材不足:地方では40代でも「若手」とされるほど人材が不足。 人口減少により、文化や伝統の維持が難しくなっている。

  6. 地域のつながりの希薄化:地域行事を担うボランティアが減少。 高齢者から若手への引き継ぎができていない。 次世代へのつながりの作り方が不明瞭。

  7. 自治会役員の後継者不足:70代中心で役員を担っており、若い世代が関与できていない。 役員の引き受け手がいないが、次世代とのつながりが希薄なため、そもそも依頼できていない。世代間の価値観の違いも課題。

一人ずつ困りごとを聞いて行く中で共通していることがわかりました。

それは、「次世代へのつながりの断絶」「お金を介在しないつながりの断絶」でした。

担い手がいないと言われますが、存在している人間は0にはなっているわけではありません。 次を担ってほしいと言える相手がいない、存在は知っていてもどんな人か知らないというだけです。

また、つながりがないから昔であれば顔見知りにちょっとしたお金ではないお礼でお願いできたことも、お金を介在しないとお願いできない関係性しかなくなってきています。

みんなの知恵を集めてみる

すべての参加者の困りごとが共有されたことで、同じようなことで困っていた安心感から、次々と解決するためのアイデアが出されはじめました。

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  1. 地域イベントとつながりの強化 子どもが関わるイベントを増やし、親や地域の大人も楽しめる企画を考える。 大人もワクワクできる場を作り、高校生にも企画参加の機会を提供する。 文化祭などの地域イベントに親や地域住民が積極的に関わる。

  2. 自治会・地域組織の継承とつながりの構築 自治会役員の継承には、まず顔と名前が一致する関係を作ることが重要。 負担を減らし、イベントの企画段階から若手を自然に巻き込む。 継続的なイベント運営を通じて、人と人のつながりを深める。

  3. 持続可能なコミュニティ活動 体力や時間に制約のある人も無理なく関われる仕組みを作る。 居場所づくりを担うプレイヤー同士が情報を共有し、連携しやすい仕組みを整える。 コーディネーターの役割を認識し、仕事として確立する。

  4. 気軽に交流できる場の創出 昔の「井戸端会議」のように、立ち話ができる場所を設ける。 高校生が子ども食堂や公民館に気軽に行けるようにする。 地域のさまざまな場所に「大人の居場所」も作る。

  5. 心理的ハードルを下げる工夫 子どもが自由に遊べる環境を整え、「入ってもいい」雰囲気を作る。 例えば、音楽ホールでランチタイムにレコードを流し、気軽に人が集まる場を作る。

1人ずつ困りごとを出し始めたときは、解決のハードルが高そうだなと思いましたが、解決することが目的ではなく、共有することで心理的安全性の高い場を作ることができ、これを繰り返すことで顔と名前の一致する人間関係が構築されていくと思いました。

昔は地域で問題解決しながら生活するために自然に集まって話し合いをしていましたが、科学技術の進歩により、助け合わなくてもお金を出せば一人でも解決できるような社会になりました。これからの時代は、意図的に顔と顔を突き合わせて地域課題を話し合う場を創出する必要がありそうです。

WCCは、そのような場をつくるきっかけになるプログラムと感じました。1時間半があっという間に過ぎてしまうほど楽しい時間を過ごすことができました。(文:竹本夏樹さん)

最後に

以上、竹本さんのレポートでした!詳細に記録をとっていただき、話し合いの様子がとても伝わる内容でしたね。竹本さん、ありがとうございました。
とっとりコミュニティ財団では、設立後もWCCを始めとして、地域の皆さんのお話を伺う機会を作っていきたいと思っています。
ぜひ、ご興味ある方はお気軽にお声かけください。